Europa Universalis: The Board Game 開発日記#3

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概要

今回の開発日記は行動カードとフランスについての紹介。

前回はこちら。

maoption.hatenablog.com

EUボードゲーム 開発日記#3

開発日記第3回は行動カードについて言及する。前回は君主力システム―Europa Universalis: The Board Gameにおいてプレイヤが行動を起こすのに必要な資源の一形態についてお話しした。

 

行動

プレイヤは基本行動 (Basic Action)を取ることもできるが、行動カードに基づいてより高度な行動を取ることもできる。これらは君主力の種類に応じて3つのデッキに分類される。すなわち軍事デッキ、外交デッキ、行政デッキだ。プレイヤは常にドロー・フェイズにどの種類の行動カードをドローするか選ぶことができる。アクション・フェイズにプレイヤはぞれぞれ1度だけ行動することができ、行動カードをプレイするか基本行動を実行するかを選ぶことになる。これによりプレイヤの手待ち時間が短くなる。

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この画像は行政 (緑)、外交 (青)、軍事 (赤)各デッキの試作カード。カード内のテキスト及びグラフィクスは最終版ではないが、基本的なレイアウトを示している。

各行動カード上の行動には君主力コストがあり、カード左上部角に載っている。必要な君主力の種類は常にそのカードがドローされたデッキに基づいている。数字の後ろの円についている色は見た目の通り君主力のどのカテゴリに属しているかを表している。赤は軍事力、青は外交力、緑は行政力で、この色分けはゲーム全体を通じて一貫している。君主力コストを支払うことでカードの大半を占めている巻物部分に説明されている行動を実行することができる。

大方の予想通り軍事カードは戦闘においてボーナスを与えたり、様々な方法で自分の国家の軍事力を増強してくれる。軍事カードの中には、他のプレイヤの行動への対応としてそのプレイヤのターン中にプレイできるものがある。外交カードでは同盟の締結や婚姻の手配など外交関係の形成が可能だ。自身の敵に対して隠密行動 (covert action)を取るために必要な諜報ネットワーク*1の構築をすることもできる。行政カードはインフラの整備や自身の国家の経済発展に使うことができる。

 

リーダとアドバイザ

気付いた人もいるかも知れないが、カードの下部にはキャラクタに割かれている部分があり、能力とアイコンと共に肖像が描かれている。これは行動カードを全く異なる2つに用途に使用することを可能にするためで、つまり各行動カードはそれに記載された行動を取るためにプレイするのか、あるいはカード下部のキャラクタとして使用するのかを選ぶことができる。

キャラクタには2種類あり、肖像のフレームが丸いのか四角いのかで簡単に判別できる。フレームが丸い方はリーダ (Leader)として、四角い方はアドバイザ (Advisor)を表している。各リーダはプレイヤ国家の君主 (Ruler)、あるいは軍隊・艦隊を指揮する軍事リーダ (Military Leader)として使用することができる。リーダには各タイプの君主力についてそれぞれ値を持っており、他方アドバイザは各々の専門分野(行政、外交、軍事)でボーナスをもたらすだけだ。各スキルはプレイヤが受け取る君主力をその値分だけ増加させる。例えばもし自分のプレイ国家の君主の外交スキルが1であり、+3の補正値を持つ外交アドバイザを雇用している場合、ラウンドごとに4の外交ポイントを獲得することになる。君主が通常死亡するまで場に留まる一方、アドバイザは任意に雇用・解雇することが可能だ。
アドバイザを雇用、また維持するにあたってはダカット*2でコストを支払わなければならない。将軍 (General)については、雇用にあたり軍事ポイントを支払う必要がある。

列強概要:フランス

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1444年のスタート時、フランスはイングランドとの百年戦争の終盤に差し掛かっているものの、停戦状態にある。2国の国力はほとんど拮抗しているが、フランスのほうが僅かに戦争への準備ができている。またイングランド保有する大陸領土すべてに請求権を有しており、いつでも宣戦布告できる状態にある。付け加えて言うと、フランスは周囲の中小国を簡単に蹂躙することもできるし、イタリア制服も十分可能な状況にある。税収も高く、人的資源の蓄えも十分だ。

しかし、フランスをプレイする上で気をつけるべきなのは全方位を敵に囲まれる可能性があることだ。南には統一スペインを目論むカスティーリャが、北西には長年の宿敵イングランドが、そして東には神聖ローマ皇帝玉座に坐すオーストリアが立ちはだかる。仮に隣国ブルゴーニュがこれら敵国の影響下に置かれたら、かなり困った状況になるだろう。フランスはまた他の海軍国家と競うためにもより多くの港を必要としている。
とはいえ、資源を大量に消費することなく百年戦争を有利な条件で集結させることができれば、襲いくる宗教革命そして戦乱の前に安定と成長の時代を送ることができる。

EU4プレイヤであればボードゲーム版でもフランス用のミッションやイベントが用意されていることに気付くだろう。

*1:訳注:EU4と同じシステムであれば請求権の捏造や悪評を広めるのに使う。

*2:訳注:EUプレイヤ諸兄にとっては説明不要と思うがダカットあるいはデュカート (ducat)とは欧州で過去流通していた歴史上の硬貨の通称であり、つまりはカネ。詳しくはWikipediaの該当ページをご参照いただきたい。