オールド・ミューチュアルの解体

金融関係の会社に勤めているので、ファンドの基準価額などをたまに見ることがある。
先日、ちょくちょくチェックするファンドの名前が突然変わっていた。
オールド・ミューチュアル・グローバル・インベスターズ(OMGI, Old Mutual Global Invesotrs)が運用していたはずなのに、メリアン・グローバル・インベスターズ(Merian Global Investors)という聞いたことのない名前になっていた。ブルームバーグのティッカーは変わっておらず、日本語名称も現時点(2018年10月)では変更されていないため甚だややこしい。なおブルームバーグを英語にして再起動した上で確認したがそちらでは反映されているようだ。

ともかくその原因を調べてみたら、なんとグループのそれぞれの事業が独立して別会社になったという。
あー、確かに前見たプレゼンにそんなことが書いてあった気がする、が全く失念していた。
そもそもオールド・ミューチュアルとはケープ植民地時代にスコットランド人の資産家が興した保険会社が前身で、今年の6月くらいまでは本業たる保険、また銀行(Nedbank)や資産運用(OMAM (米), OM Wealth (英))を包括的にカバーする金融コングロマリットだった。
2016年に事業の分割(Managed Separation)を発表し、知らぬ間に着々と進んでいたようだ 。
OM Wealth(現Quilter plc)は分離後ロンドン証券取引所にて上場したが、その前に更にOMGIがこの会社から分離し、シニアクラスのメンバーが経営者となり、名称変更されたのがMerianというわけだ。
ファンド名が変わった理由が分かってスッキリしたのもつかの間、新たな疑問が生まれた。

何故長年をかけて築いたコングロマリットを解体しなければならなかったのだろうか?

保険が本業で資産運用も手掛けている会社といえば競合の独Allianzが出てくるが(正確にはこれ以外知らない)、彼の会社が事業分割するなどという話は聞いたことがないし、むしろ自社の資産運用会社(Allianz AM)と2000年に買収した子会社PIMCOで客を食い合わないのだろうかと要らぬ心配をするほどだ。まあPIMCOは名の売れた債券アクティブ運用会社らしいので棲み分けはできているのだろう。
オールド・ミューチュアル分割に関する日本語のニュースなどは当たり前ながらさっぱり見当たらなかったので自分の理解が合っているのかは分からないが、株主にとってオールド・ミューチュアルが複数事業を抱えるメリットをデメリットが上回るから、らしい(理由としては当たり前過ぎてそりゃ割にあってるならしないだろと思うが)。
ブルームバーグあたりで業界人が軽く解説しているニュースがあったのだが、記事が古いのかググっても見当たらなかった。曰くアフリカの楔から逃れられず(元々本社は南ア、イギリス進出後はロンドン)、グローバル化に失敗したとのことらしい。分割の根本的な理由を知っている人がいたら教えてほしい。

結局、オールド・ミューチュアル・グループは以下のように分割されたようだ。
◆Old Mutual plc (持株会社、イギリス)
→ Old Mutual Ltd (持株会社、南ア)
◆Old Mutual Emerging Markets (主にアフリカにおける金融サービス)
→ 新持株会社傘下
◆Old Mutual Asset Management (資産運用、アメリカ)
→ BrightSphere Investment
◆Old Mutual Wealth (資産運用、イギリス)
→ Quilter plc (マルチアセット)
→ Merian Global Investors (シングルアセット)
◆Nedbank  (銀行、南ア)
→ グループ離脱

参考: